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 漫画の100冊「ただしい」の2 

はだしのブン
(永島慎二)

 永島慎二という人が実は「柔道一直線」を描いていた人だというと驚く人も多いだろう。氏が少年誌で頑張っていた頃の傑作のひとつがこの「はだしのブン」。分校と本校の対立という懐かしい構図はともかくとして、生き生きと描かれた子供の姿の爽やかさはどうだ! 残念ながら絶版だが古本屋ではまだ見かけるよ。
レ・ミゼラブル
(みなもと太郎)

 ユゴーの名作を素敵にまとめた作品。ギャグ系でありながらここまで人を感動させられるみなもと太郎氏は、もっと評価されていい。常に汚名をきせられるジャンと薄幸の娼婦ファンテーヌとの純愛。離ればなれに暮らす最愛の娘コゼットとの人生最後に訪れた一瞬の再会。一瞬の幸せ。ああ…。最近豪華本で復刊された。
カムイ伝
(白土三平)

「カムイ伝はすごいで」というセリフを何回耳にしたことか。それほどに、読んだ者に影響を与えてしまう。「人間」の本質を見つめ、しかもそれを描ききってしまえる白土氏は、先ごろ亡くなった司馬遼太郎氏と並んで、日本の良心と呼ぶにふさわしい。差別に挑む正助の勇気、それをつぶす側の冷酷。どちらも人間だ。
ぼっけもん
(岩重孝)

 青年漫画というものができてからの、これはまちがいなく最高傑作のひとつ。最初の方は村野守美氏のものまねで、絵的にはつらい。が、それでも読者を引き付ける、主人公浅井の生々しく恥多き生き方はどうだ。「若いうちは小ずるいこと考えるな」というメッセージの固まり。こういう作品って他にあんまりないよね。
フーテン
(永島慎二)

 永島慎二と言えばこの作品。青春、屈折、退廃、しらけ、ジャズ、放浪、ドラッグ…、昭和40年代の若者文化の最先端を、劇的にしかし冷静に優しく描いている。私小説的漫画のはしりでもある。深夜の新宿からタクシーを連ねて海まで出かけるシーンが忘れられない。永島さん、隠遁してないで頑張ってください。
花いちもんめ
(永島慎二)

 傑作の多い永島慎二の作品群にあって、少年誌時代の最高傑作と言えるのがこの作品。メンコをめぐる子供たちの攻防を通じて、懐かしい下町の風情も、古き良き子供文化も描ききって、その上で永島さん流のメッセージも十分に感じさせる。リアルタイムで下町文化を体験しなかった人にも懐かしさは伝わるはず。



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