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 漫画の100冊「ただしい」の3 

お〜い!竜馬
(武田鉄矢/小山ゆう)

 鉄矢さんというと、なんせ竜馬に取りつかれた人で、その鉄矢さんが満をじして発表しただけあって作品の質は相当に高い。名作「竜馬がゆく!」(司馬遼太郎)に匹敵するほどの出来映えだ。武市ら土佐の仲間が断罪されるところなど、土佐の身分差別描写は特にド迫力。竜馬も本当に魅力的。カッコイイ、がここにある。
ジャングル大帝
(手塚治虫)

 子供のための夢溢れる大河ドラマ。レオのジャングル改革、特に道路やレストランを作るところが面白かった。親友ケン一を元気づけるための、動物勢揃いのコーラスシーンと、海を漂流するレオを元気づける蝶の大群シーンは圧巻。動物も人間も同じ生き物だよ、という手塚さん流のヒューマニズムがここにも見える。
ポーの一族
(萩尾望都)

 ポーとは、崇高なる吸血鬼一族の名称。この作品は、その末裔エドガーの、哀しみに満ちた人生を描く年代記。最愛の妹メリーベル消滅の瞬間、終わってしまった彼の人生。それでも生きざるをえない不死の宿命。生命を奪って生きる彼の冷酷さが、なぜか美しく、儚く見える。透明感とはこういうことか…と実感した。
いちご物語
(大島弓子)

 ラップランドからやって来た天使のような少女、いちご。愛する林太郎の妻になるためだ。夕食の支度に狩に出ようとするいちごの無邪気な価値観にとまどうのは、何も林太郎だけではない。自然を愛さない国の汚れた空気に犯されながらも、林太郎につくすいちごの愛。これを読んで北欧に旅立った少女がたくさんいた。
ブッダ
(手塚治虫)

 人間は弱い。弱いから、ことさらに自分より弱いものを見つけ出し、比較の中で自分の強さを見つけようとし続ける。いつの時代も変わらないこの人間の愚かさを、グサリとえぐる手塚さんの意欲作。生きることの意味を見つけようとあがく釈迦の生涯を描くこの作品は、手塚流の宗教観が完結した、世界に誇るべき作品だ。
ホットロード
(紡木たく)

 彗星のように現われて、少女漫画をコロッと変えてしまった。ノートの端にでもサラサラと描かれたようなキャラクター。極端に省略された線を補うのは、みずみずしい感性と、キャラの目線やセリフの説得力。暴走族をテーマにしたのは、彼らの感受性が同世代の中で一番鋭いのだよという、大人に対する無言の忠告か。



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