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 漫画の100冊「ほのぼの」の1 

クルクルくりん
(とり・みき)

 ご本人には申し訳ないが、とり・みきさんの作品で傑作はこれだけだ。しかしこれが本当におもしろい。超多重人格をもつくりんちゃんが、事あるごとに人格を入れ替えつつ、毎回色っぽく激しくかわいく暴れ回る。若き漫画家のデビュー直後の勢いが素直に出ている。15年たった今も色あせないのも勢いのなせるワザか。
ドラえもん第36巻
(藤子・F・不二雄)

 奇麗で心やさしいんだけど偽物のジャイアンと、やないじめっ子なんだけど本物のジャイアンとの究極の選択を迫られたり、のび太のおつかいを激しく超々ドラマチックに描いたりと、珠玉の名品が並ぶこの36巻。意外に多い「ドラえもん」ビギナーにぜひ読んで欲しい一冊だ。長編の「のび太の恐竜」もいいぞ。
ユーラブミー君
(赤塚不二夫)

 赤塚氏というと強烈なギャグのイメージだが、これは結構せつないところをついてくる、いい作品集。特に、おねしょした日だけ活躍できる少年「ジンクスくん」と、動きだした壁の落書きと友達になる「らくがき」の2本がいい。漫画というより絵本的なテーマで、今のどぎつい少年誌には載りそうもないところがいいのだ。
親不知讃歌(おやしらずさんか)
(松本零士)

 思春期の少年の、バカバカしいくらい大きく震幅する恋心と、崇高なプライドとこだわりとをうまく表現した、素敵な小品。無理矢理大空に挑戦したり、やたらでっかいものを作ったり、松本作品が描く「男」はいつも「少年の魂」を持ち続けてて、そこがいいよね。これを少しメジャーにした「魔女天使」もいいよ。
アゲイン
(楳図かずお)

 人間誰にでも若返りたいという夢はあるようだ。死を目前にした老人・元太郎はアゲインという薬を口にして、突然少年に戻ってしまう。それまで自分を蔑みいじめ続けてきた孫や嫁に対するストレートな復讐劇、自由奔放ないたずらの数々、パワフルな活躍…、なんせ爽快でしかも笑える漫画、それが「アゲイン」だ。
気分はグルービー
(佐藤宏之)

 バンド漫画の先駆け的大傑作。なんせ、こんなにギターをきちんと描く人は佐藤さん以前にはいなかった。作者のロックに対する情熱が全てのページにほとばしる、同世代感に満ちた青春グラフィティだ。中森明菜がモデルのヒロイン、寿子も実に魅力的だし、脇役にも存在感がある。主人公憲二の若さゆえの苦悩はいつの時代も定番だ。



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